日常に潜む「ダークパターン」とは

みなさんがネットショッピングサブスクリプションに登録するとき、

「いつの間にか不要なオプションが追加されている」
「メルマガの配信チェックボックスに初めからチェックがついている」
「解約ページが見つからない」

といった経験はありませんか?

私たちが日常的に利用しているウェブサイトやアプリには、ユーザーの心理的なスキをついて企業側に有利な行動をとらせようとする罠がたくさん仕掛けられています。

このような仕掛けの中で、悪意のあるものや消費者に不利となる
ウェブデザインやトリックはダークパターン(Dark Pattern)
呼ばれています。

狙われているのは購入や契約だけでなくあなたの個人情報や行動パターン。巧妙な手口でいつの間にか誘導されてしまうのです。

ダークパターンは、単なる「少しずるい手口」ではありません。

OECD(経済協力開発機構)でも消費者保護の観点から問題視されており、国際的に規制や啓発が進んでいる重要な社会課題です。

ダークパターンの7つの類型

OECDは、ダークパターンを大きく7つの類型に分類しています。

次の段落でそれぞれに関して説明します。

類型別の事例について見てみよう!

上記の類型ごとにどのような手口があるか見てみましょう。

様々なバイアスのもたらす影響

ここまでにたくさんの「バイアス」「○○効果」という言葉が登場したと思います。これらは認知バイアスと呼ばれる心理効果です。

これら認知バイアスについてはまた別の記事で解説します。

就職活動の情報サイトなどでも、学生の不安な心理を突き「推薦枠が埋まります」といった緊急性を煽るメールが送られてくるケースがあり、これも一種のダークパターンと言えます。

日本における法的な対策は?

実は、現在日本には「ダークパターン」そのものを直接規制する単独の
法律は存在しません

そのため、行政は既存の法律を改正したり、解釈を応用したりすることで対処しています。主に以下の3つの法律が防波堤となっています。

①特定商取引に関する法律(特定商取引法・特商法)

特定商取引(ざっくりいうと詐欺に使われやすい取引)において
消費者を保護する法律

「初回無料!」といったポジティブな言葉で誘い込み、
実は高額な定期契約を結ばせる「お試し商法」。
これに対抗するため、2022年の特定商取引法の改正によって、
通信販売時の「最終確認画面」の規律が大幅強化されました。

また「取消権」が新設され、業者が嘘の情報を表示or表示すべき情報を隠したとき、解約できる(発覚後1年、契約後5年)ルールができました。
⇨これまでもクーリングオフ(8~20日)はあったが
期間が長く、適用範囲が広くなった!

②景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

社会的証明の虚偽の規制

「顧客満足度No.1」や「医師の90%が推奨」
⇨実際には調査対象を著しく制限したり、調査時に結果が操作されていたりする悪用事例

☆消費者庁は不実証広告規制を活用し、合理的な根拠資料を提出できない事業者に対し、その表示を不当表示(優良誤認)とみなして措置命令を行っている。

ステルスマーケティングの規制

いわゆるサクラを使ったマーケティングの規制。インフルエンサーにPRと明記させない場合。
⇨「自分の好きなこの人がPR抜きで薦めるなら!」

☆対価を受け取ってその商品の感想を他者に共有することを求められた場合、広告であると表記しなければ規制対象となる処分事例がある。

消費者契約法

・取消権の新設(法第4条)
消費者が不利な状態(情報や交渉力)にあり、無理やり購入させられることを防ぐことができます。

取り消せる契約の一例
解約手続きを進めようとしても、執拗に引き止めのポップアップが出たり、解約ボタンが見つからない場所に配置されていたり、サーバーエラーを装って手続きを中断させられる場合。

契約にとって重要な不利益な事実(例:解約には違約金がかかる、自動更新される等)を故意に告げない場合。

日本では、法律の解釈を広げたり条文を追加したりすることで、
変化し続けるダークパターンに対応しているのです。

ビジネスと法律はいたちごっこ

企業はできるだけ消費者を納得させて商品を売りたいと考えています。

法律の抜け道を探すのは商売の基本なので、単なる法令ですべての被害を防ぐことはできません。

多様化、深層化するデジタル社会においては、消費者が一定以上のリテラシーをもち、信頼できる企業が生き残っていけるように見極める力を身に着けていく必要があるのです。

最後に

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