豆知識

日本で働く外国人が増える今だからこそ知りたい!外国人住民と安心して暮らすためにできること

慶應義塾大学
総合政策学部 サイバー防犯教育等研究会
A.S

はじめに

皆さんは、どれくらいの外国人の方々が日本で生活しているか知っていますか?

出入国在留管理庁のデータによると、2023年末で341万992人と過去最高を更新しているそうです

私自身、地域の外国人住民との交流に興味を持っていて、高校生の時には自由研究という単位を利用して海外の文化に関する調べ学習をしたり、大学に入ってからは人の移動に関する調査を行うインターンを経験したりしました。そのような中、JICA 緒方貞子平和開発研究所が実施した調査に関する報告書を目にする機会があり、国内の労働力不足により2040年には42万人の外国人材を受け入れる必要があると知りました。そこで、人手不足が深刻な特定産業に従事する外国人材の受入れを見据え、社会安全政策の理論を用いて安心安全な社会の実現するための方法を考えてみることにしました。

研究手法

研究においては、犯罪機会論の立場から、犯罪抑止の三要素の視点から施策の検討を行いました。犯罪機会論とは、犯罪機会に着目し、「なぜここで」というアプローチから犯罪機会を無くす方法を探求する立場で、防犯環境設計、状況的犯罪予防、日常活動理論、犯罪パターン理論、割れ窓理論といった個々の理論の総称したものです。これらの理論を統合・単純化したものが犯罪抑止の三要素であり、以下の要素を高めることで、犯罪機会を減らすことにつながると考えられています。

  • 抵抗性

今回の研究では望ましい状態を維持しようという意思を指します

  • 領域性

今回の研究では犯罪者の侵入を許さないという意思を指します

  • 監視性

今回の研究では主体的にかかわろうとする意志を指します

抵抗性は個人に対する防犯で、領域性・監視性は集団に対する防犯となるため、抵抗性と領域性・監視性に視点を分けて施策の検討を進めました

抵抗性の視点

抵抗性(望ましい状態を維持しようという意思を)の視点では

出身国との法律の違いや外国人材が巻き込まれやすい犯罪に考慮した情報発信を定期的に更新しながら行う必要があると考えます。

例えば、特殊詐欺事件で悪用される銀行口座が外国人名義となっている事例が近年増加しており、このような現状や銀行口座をあげる・売るという行為が犯罪だという知識を知ってもらうことが重要です。治安情勢は変化するため、注意喚起の内容も定期的に見直す必要があります。

領域性・監視性の視点

領域性(犯罪者の侵入を許さないという意思)・監視性(主体的にかかわろうとする意志)の視点では

外国人材と外国人材を受け入れる地域住民の間で結びつきを醸成する必要があると考えます。

日本において、外国人を受け入れることと犯罪の関係性に関する実証的研究はほとんど実施されていないのが現状ですが[5]、ソーシャルキャピタルと犯罪にはソーシャルキャピタルが豊かな地域ほど犯罪率は低いという関係があることが明らかになっています。

ソーシャルキャピタルとは、アメリカの政治学者であるパットナムの提唱する「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる、『信頼』『規範』『ネットワーク』といった社会組織の特徴」のことを指し、結合型ソーシャルキャピタル(組織の内部における人と人との同質的な結びつきで、内部で信頼や協力、結束を生むもの)と橋渡し型ソーシャルキャピタル(異なる組織間における異質な人や組織を結び付けるネットワーク)に分類できます[6]

日本に住む外国人においては、外国人同士の結びつき(結束型ソーシャルキャピタル)は強い一方、地域住民との結びつき(橋渡し型ソーシャルキャピタル)が希薄であることが示唆されており[7]、この橋渡し型ソーシャルキャピタルを醸成することが、安心安全な社会の実現につながると思います。

そのためには、パトロール活動などの防犯対策に外国人材と地域住民が共に参加できるよう、地域の関係機関による多機関連携の態勢を構築することや、「プラス防犯」や「ながら防犯」といった既存事業に防犯視点を加える具体的な方法の周知が必要だと考えられます。

参考文献

最後に

言語や文化が違うことでコミュニケーションの機会が減ってしまいがちですが、挨拶をしたり交流イベントに参加してみることで、安心感だけでなく新しい出会いや発見を得ることができるかもしれません。

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